東京高等裁判所 昭和56年(行ケ)28号 判決
原告主張の審決取消事由の存否について判断する。
本願商標からは、その構成部分である「SUNSPRAY」「サンスプレイ」をそれぞれ一連に読む「サンスプレイ」の称呼を生ずることはいうまでもない。
ところで、本願商標の構成中「SUNSPRAY」の後半の文字部分「SPRAY」は、噴霧器の意味を有する英語として一般によく親しまれている語であり、「スプレー」の文字は、「SPRAY」の音を表わし、噴霧器を意味する外来語として広く一般に知られている(例えば、広辞苑第二版補訂版第一二〇三頁、岩波国語辞典第三版第五八〇頁参照)。そして、成立に争いのない乙第一号証、第二号証の一ないし三、第三号証によれば、農業用薬剤及び一般用薬剤を取扱う業界においては、噴霧式にして使用する殺虫剤、防臭剤などの商品について、「SPRAY」の音を表わす「スプレー」の文字が普通に用いられていることが認められる。
そうであれば、本願商標をその指定商品である「単独又は他の稀釈剤と混合し噴霧式で缶入りにして使用するための農業用又は公衆衛生用薬剤」に使用するときは、本願商標中の「SPRAY」「スプレイ」の文字部分は、取引者、需要者により、単にこれらの商品の品質を表示するにすぎないものと認識されるというべきであつて(「スプレイ」と書されていても、これが「SPRAY」の音を表わす「スプレー」と別異のものとみられることはない。)、本願商標において自他商品識別の機能を果たすのは、その余の「SUN」「サン」の文字部分であると認めるのが相当である。したがつて、本願商標からは、「SUN」「サン」の文字部分から「サン」の称呼をも生ずるということができる。
本願商標からは一連に「サンスプレイ」の称呼のみ生ずるものとする原告の主張は、理由がない。
他方、引用商標から「サン」の称呼を生ずることは、その構成上、明らかであるから、本願商標と引用商標とは称呼を共通にする類似の商標であるとした審決に誤りはない。
よつて、本件審決の違法を理由にその取消を求める原告の本訴請求を失当として棄却する。
〔編註〕本件に関する商標は左のとおりである。
別紙第一
<省略>
別紙第二
<省略>